忍者ブログ
当ブログは株式会社トミーウォーカー様が運営されるPBW,「TW4:サイキックハーツ」PCのサイドストーリーや、不定期日記などを掲載しています。知らない方は回れ右でお願いします。 なお、掲載されるイラストの使用権はプレイヤーに、著作権は作成したイラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカー様が所有します。無断使用はお断りさせていただきます。
HOME[PR]SS「灯」の存在:白嵐乃章
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。









異変はいつも突然に起こる。
バベルの鎖に覆われている身でも、感知できないことは山ほどある。
人生の節目節目で、それは何度も感じ、何度も乗り越えてきた。
そして、今日この瞬間に、また一つ異変が起こる。
予想していた未来ではあるが、起こってみると感慨深くもある。
そんな、親として喜ばしくもあり、恐ろしくもある、そんな日が来たのだ。

「ありがとうございました。」
最後の客を見送り、看板の灯を落とす。
店内の片付けと仕込みを終わらせ、先に上がって待ってる家族の元へ向かう。
店の裏口から庭に出て空を見上げる。
月は傾きかけ、星は瞬いて強く主張する。
そして一つ、赤く灯るランタン。
何かの予感が体を駆け抜けた。

家に戻れば団欒が待っている。
職も家族も手に入れたのだ。
戦いに明け暮れた日々を駆け抜け、必死で守り通した。
その報酬として、ささやかな幸福がこの手にはある。
もちろん、戦いは終わっていない。
主戦場が変わっただけだ。
自分で戦うより、遥かに困難で重大な戦いの、最中なのだ。

その一つが、目を覚ましたようだ。
始まりは1本のメール。「不穏な気配がするよ」
離れて暮らす息子からのメール。
何分、自分も感じているのだ。
半身の事ともなれば、息子の方が敏感だろう。
いよいよ来たか、と思う。

自宅のリビングには、地下室に通じる階段がある。
そこは、かつて使っていた殲滅道具たちが眠っている。
自分が使っていたもの、仲間が使っていたもの、
そして、あるダークネスから取り上げて封印したもの。

埃っぽい階段を降り、明かりをつける。
部屋の奥、長物が納めてある一角を見る。
そこには厳重に封印が施されている160cmはある細長い箱がある。
それに近寄って、そっと蓋を開け中を確認する。
華美で儀礼的な柄、蝋燭立てを思わせる口金、細く鋭い燃える灯の様な眩い刀身。
そして目を引くのが、口金から石突に掛けて張り巡らされた「暗幕」の存在。
その『槍』は、誰かを待っている様に明滅し震え始める。
中身を確認して再び蓋を閉め、独り言ちる。
「目覚めつつある、か。これを取りに来るのは、”帳”なのか、もしくは――――。」

箱を担いで地下室を出る。
そのまま庭に出て星空を眺める。
”帳”の復活は、あの時から想定していた。
”帳”をあのように封印した、その時から。
それは、長年を灼滅者として戦ってきた故の親心でもある。

「受け入れるべきを受け入れて、超えるべきを超えてくれ。曜灯」

”白嵐”と呼ばれたダンピール、御津乃廉・灯の夜空への独白は、
寄り添ってくれる彼のパートナーと星々のみが聞いていた。
PR
この記事にお返事する
お名前
お題
お色
お手紙
住所
お返事
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
宛先:管理人  
プロフィール
HN:
LJ
性別:
非公開
P R
Copyright(c)  紅小花のダイアリー  All Rights Reserved.
Material みるくきゃっと  Template かすぶろ  忍者ブログ [PR]