当ブログは株式会社トミーウォーカー様が運営されるPBW,「TW4:サイキックハーツ」PCのサイドストーリーや、不定期日記などを掲載しています。知らない方は回れ右でお願いします。 なお、掲載されるイラストの使用権はプレイヤーに、著作権は作成したイラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカー様が所有します。無断使用はお断りさせていただきます。
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「ただいま」
学園祭2日目。
シューズアートをしているクラブで作って来たブーツを見る。
一緒に作った、ショートブーツ。
勇介もショートブーツを作ってたから、お揃いと言っていいと思ってる。
あたしから言い出したとはいえ、勇介が考えて見つけてくれた企画だった事、
それがブーツコレクターなあたしにぴったりだった事、
このブーツ履いて出掛けようって誘ってくれた事がすごく嬉しかった。
勇介とのデートまで大事に仕舞っておこうと決めて、丁寧に鞄に入れた。
同じように靴を仕舞っていた勇介が声を掛けてくる。
勇「曜灯、付き合ってくれてありがとっ!」
他愛もない会話が始まる。
あたしはその時には、そう思っていた。
曜「ううん。誘ってもらったのはあたしの方。ありがとうね。」
(ちょっと強引にねだってみたのはあたしだから。
だから、お礼はあたしが言うのがただしいでしょう、ね、勇介?)
勇「いつも学園祭の頃はバタバタしちゃうから、
友達と遊びにいったのは初めてなんだ。だから嬉しかったよ。」
曜「そう。それは良かったわ。」
(そう言えば、忙しそうにしてたっけ。
忙しいのに、あたしの我儘を聞いてくれてありがとう。
でも一つだけ、勇介は間違ってるわよ。
答えは教えてあげないけど。)
曜「でも、もうちょっと大きく出てくれても良かったのよ?」
顔を軽く背けて横目で勇介を見る。
身長差がかなりあるから、見上げる形に、上目遣いに自然となる。
勇「えっ?」
曜「女の子を誘ったんだから、そう言ってくれたらいいのよ?」
(なんだか勇介の反応がおかしいわね。
てっきりキョトンとして頓珍漢を言ってくると思ったのに。)
勇「え、えと。今日はデート、付き合ってくれてありがとなっ!」
曜「どういたしまして。また誘ってくれるんでしょう?」
(あ、気付いてくれたのね。
それに、うろたえるのじゃなくて、きちんと言ってくれたわね。
もう、緊張しちゃって、可愛いわね。
でも、頼もしいじゃない。
それなら、また我儘言っていいわよね?)
パーッと、ニッコリと、勇介が喜ぶ。
勇「うん、また誘わせてくれよっ。」
曜「期待してるわよ?あとは…、他には何かないかしら?」
(次はどこに誘ってくれるのかしら?
それは今後の楽しみにしといて、
もう一つ、あたしには聞いておきたい事があるの。
今日は学園祭よ?コンテストがあったのよ?
あたしも参加してるんだから、何かあるでしょう?)
ちょっと考えて、勇介は学園祭パンフレットをめくって見せる。
勇「んと、あと30分ぐらいが限界だけど……屋台のくじ引きぐらいなら大丈夫かな?」
曜「いや、勇介のリミットが近いのは分かってるから、無理しなくていいわ。
探してくれてありがとう。」
(あ、早速誘ってくれるんだ。
厚意は嬉しいんだけど……。
ちょっと聞き方がまずかったかしら?)
居住まいを正して真っ直ぐ勇介を見る。
曜「でもね、ちょっと違うの。」
(ダメかしら?中々上手く出来たコーディネートだったんだけど…。
うーん、もう少し育ってくれないと印象薄いのかしら?)
思わず勇介を見上げる目に力が入る。
勇介は勇介で、すごく迷っている様に見える。
昨日今日と学園祭だったのだ。
店番、宣伝、コンテスト、投票、色々あるのは分かる。
でも、あたしに言うべき事って言ったら、店番とコンテスト位だと思うのだけど?
それにしても、すごい冷や汗をかいている。
蹴るとか踏むとか、ちょっと脅かしすぎたかしら?
と首を傾げながら自己反省する。
少しして、勇介が突然表情を引き締めた。
取り敢えず何か言う気になったようだ。
端から見ても力が入っているのが分かるし、喉までならしている。
そんなに踏まれるのは怖いのだろうか。
後で謝っておこうと決めた時、
勇「え、えと、友達から……はもう始まってるから、その、付き合って下さいっ!」
頭を下げられた。
曜「え?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
(ん?今あたし、なんて言われたっけ?
”友だちから”って、何を今さらな事を。
”始まってるから”って、うん、1年くらい友だちやってるわよね。
”付き合って下さい”って、それはデートとか誘ってくれたら付き合うわよ?
ん?さっき普通に誘ってくれてたわよね?
じゃ、この付き合ってっていうのは、何を?
なに、今まで見た事ないような真剣な顔して。汗まで浮かべて。
それって、もしかして、勇介はあたしに告白し…………。)
顔が熱くなり始める。頭の上でボンっと何かが弾けた様な気もする。
目が泳いで勇介を直視出来ない。
内心が口に漏れ出してくる。
曜「え?その…、だって……、あたしは、…、水着の事を、…アレ?」
(こ、このタイミングで!?前触れなんて……、あった様な気がするけど…。
ほ、ほんきなのかしら?だって、そんな…。ひ、ひぃ!(弟の事)陽桜ネ!
パパ、ママ!あたしはどうしたら…。
ダメ、頭が上手く働かないわ。
空気、空気が欲しい!)
すぅー、ふーーーーー。
ゆっくり吸ってゆっくり吐く。酸素を体中に行き届かせる。
すぅーっ、ふーーー。
速く吸い込んで止めて、一息で吐き出す。
うん、ちょっと頭が冷えてきた。
ゆらりと顔を伏せて名前を呼ぶ。
曜「勇介。」
(あたしは、どうなの?告白されてどう思ったの?
聞きたい。もう一度、聞きたい。
そうすれば、分かると思うから。)
声が震えそうだった。顔を背けそうだった。
でも、真っ直ぐ伝えないと。しっかり向き合わないと。
曜「それ…、本気なのかしら?」
(我ながら冷めた言い方ね。
表情も、きっと怖い顔してるわよね。
ごめんね、でも虚勢張らないと顔を見ながら話ができないの。)
たじろいでうろたえる、いつもの勇介が目の前にいた。
それを見ると、不思議と落ち着いてきた。
勇「いや、さすがに本気じゃなかったら言えないでしょ!?
っていうかそっちにその気が無いとかだったら、マジごめんっ!」
冷静になってくると、勇介の態度に腹が立ってくる。
自分の周りの温度が下がっていく気がした。
曜「あたしの事はいいの。勇介が本気なら、もっと、強い言葉で言って。」
(何その日和見な言い方!勇介の本気ってその程度なの?
あたしがその気がなかったら引っ込める程度のものなの?
どっちよ!)
あたしは相当怖い顔をしてたんだと思う。
勇介は押されたように仰け反って、
でも、またあの時の様に表情を引き締めて、
あたしを真っ直ぐ見て、
勇「なら、言うよ。好きだ。付き合ってくれ。」
(うん、ありがとう。あたし、嬉しかったんだわ。)
(勇介に告白されて、嬉しかったの。)
(実を言うとね、勇介が本気なのは分かってたの。)
(あたしがその本気を受け止める為に、必要だったの。)
(正直、あたしには”恋”って良く分からないの。そういう好きって事がね。)
(でもね、勇介なら、勇介だから、嬉しかったの。)
(あたしでいいんだよね?なら、よろしくね。)
曜「うん、よろしくね。」
勇介に近づいて胸の辺りの服を摘まんで俯く。
ダメ、こんな顔を見せられないもの。
顔を真っ直ぐ見れないもの。
でも、あなたの近くにはいるよ?
それで許してね、勇介。
「好き」って言われて、どうだった?
―――――言われる事は何度もあったわよ?ーーーーー
違うわ、「恋愛」の好き、の事よ。
―――――そんな事言われても、分からないわ。ーーーーー
でも、受け入れたのでしょう?
―――――だって、すごくカッコよかったもの。ーーーーー
それだけの理由かしら?
―――――ずっと年上なのに、背が高いのに、弟みたいだって思ってたもの。ーーーーー
貴女が誘ってるように見えたけど?
―――――寂しかったから。一人で学園祭回って………。―――――
随分気を持たすような言動してたわよ?
―――――男の子が女の子を誘うのは、一般的にデートでしょう?ーーーーー
割り切って考えてる割には、むきになってる時があったわよ?
―――――た、ただの占いじゃない。ーーーーー
貴女、望んだんでしょう?
―――――え、なにを?ーーーーー
ふふ、やっと貴女と話が出来るわ。
―――――何を言ってるの?ーーーーー
”白嵐”たちが施した防壁のない、生の貴女とお話が出来る。貴女が貴女を望んでくれたから!
―――――あなたは、だれ?ーーーーー
わたしは、”帳の貴婦人”。もう一人の貴女よ。
―――――言われる事は何度もあったわよ?ーーーーー
違うわ、「恋愛」の好き、の事よ。
―――――そんな事言われても、分からないわ。ーーーーー
でも、受け入れたのでしょう?
―――――だって、すごくカッコよかったもの。ーーーーー
それだけの理由かしら?
―――――ずっと年上なのに、背が高いのに、弟みたいだって思ってたもの。ーーーーー
貴女が誘ってるように見えたけど?
―――――寂しかったから。一人で学園祭回って………。―――――
随分気を持たすような言動してたわよ?
―――――男の子が女の子を誘うのは、一般的にデートでしょう?ーーーーー
割り切って考えてる割には、むきになってる時があったわよ?
―――――た、ただの占いじゃない。ーーーーー
貴女、望んだんでしょう?
―――――え、なにを?ーーーーー
ふふ、やっと貴女と話が出来るわ。
―――――何を言ってるの?ーーーーー
”白嵐”たちが施した防壁のない、生の貴女とお話が出来る。貴女が貴女を望んでくれたから!
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わたしは、”帳の貴婦人”。もう一人の貴女よ。
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